中国・香港の株式市場の今後

QDIIとは?

 QDIIとはQualified Domestic Institutional Investorsのことで日本語にすると「指定国内機関投資家」になります。一定条件を満たした中国国内投資家に、指定された金融機関を通して海外の投資を認める制度です。

 QDIIの定める条件が非常にきびしいので、該当できる企業はよほどの大手でなければ無理というのが現状です。しかし、QDII制度が導入されれば一部とはいえ大陸企業による海外の株取引が可能になることは注目すべきです。

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QDII効果はH株に表れる

 中国では人民元の流通がいまだ厳しく制限されていることから、QDII制度導入の現実はなかなか難しく、導入が遅れているのが現状ですが、その導入には多くの期待が寄せられています。

 導入されれば、現在A株以外取引することのできない中国投資家が機関投資家を通じて香港市場に参入し、そこから海外市場へ進出できるようになります。大陸資本が香港市場に流入するのでH株の株価上昇に衆目が集まっているのです。

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2001年非合法株式投資事件

 2001年ゴールデンウィーク明け、香港のH株、レッドチップが原因不明の株価上昇を見せました。その背景には、休暇を利用して香港に入った大陸の投資家達がこぞって香港に口座を開設し、非合法にH株やレッドチップを購入したのです。

 中国の投資家はA株以外の取引を認められていません。しかし、いくら取り締まってもこのような事態があとを絶たないので、政府はこれを合法化する策にでたのです。それがQDIIです。

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QDIIの利便性

QDIIの利便性T
 QDIIは政府が指定した金融機関を通すので、大陸投資家の香港市場参入を管理することができます。水面下で非合法に取引されては、人民元の香港流出を見逃してしまいます。ところが、合法化することで、その動きを政府が把握、コントロールできれば安心です。QDIIの導入は中国政府にとっても必要なのです。

 しかし、導入を強く訴えたのはむしろ香港政府や市場だったのです。

QDIIの利便性U
 2001年から世界経済は本格的な低迷を見せ始めました。海外経済の悪影響を受けない大陸市場とは違って、香港市場はそのあおりをもろに受けました。香港市場の低調と、経済の低迷が重なって、香港経済は衰弱していました。大陸から資本が流入すれば、この危機を抜け出せます。だから、香港側は強くQDII導入を望んだのです。

 香港では大陸からの資金調達が可能になり、大陸投資家は香港市場を通して海外の市場にアクセスできるようになります。あと問題は、中国の通貨流出入の規制をどうクリアするかです。

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QFIIとは?

 Qualified Foreign Institutional Investorsのことで、日本語にすると指定海外機関投資家となります。中国の指定する海外の金融機関を通して、海外の投資家が大陸市場へ投資できる制度です。

 このQFIIがなかなか導入されず入れ替えに話題に上がったのがQDIIですが、2003年結局QFIIの方が先に導入され、2005年現在QDIIの導入が求められています。

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QFIIの利便性

 QFIIの導入は大陸側にとって、段階的に市場を開放できるので、大陸株式市場開放を目指す中国にはもってこいの制度です。海外投資家のA株参入を、国が指定した金融機関で管理できる上に、資本の流出入を政府がコントロールすることが可能です。

 外貨獲得と共に、A株市場の保護育成ができるので政府にとっては好都合です。

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QFIIの現状

 2003年、中国政府は一部の海外金融機関を試験的にQFIIに指定し、海外投資家のA株参入を認めました。やはりQFIIの定める条件が非常にきびしいので、該当できる企業はよほどの大手でなければ無理というのが現状です。

 しかし、国際標準化を目指している中国にとって、その実現に少しずつ近づいていることは確かであり、中国株が私たちにとってより身近なものになってきていることもまた、確かなのではないでしょうか。

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世界一の外貨準備保有国、中国?!

 現在、世界第一位の外貨準備保有国は日本です。しかし、2005年6月の中国の外貨準備高は7110億ドルに達し、同年1月より1010億ドルという目覚しい増加を見せています。このペースで行けば、近い将来、中国が日本を抜いて世界一の外貨準備保有国となるかもしれません。

 この現象は、2003年中国政府がQFIIの導入を本格的に始めたことによる成果の表れです。しかし一方で、外貨の管理を強化しなければいけないため、中国人民銀行(中央銀行)にとって、これが2005年の最重要課題になるでしょう。

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貯めこむばかりが脳じゃない

 QFIIの導入により、外貨の流入が大きくなった中国は、現在世界第2の外貨準備保有国です。それが中国の金融危機への不安を緩和しているのですが、外貨といえどもお金です、貯めるばかりでは、国は豊かになりません。なかなか実現されないQDIIですが、導入されれば、こうした保有外貨を、香港市場を通じて合理的に運用できるようになるでしょう。

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CDRとは?

 China Depository Receipts(中国預託証書)このことをいいます。日本人投資家の間では、アメリカ預託証書であるADRの方が知られていますが、それの中国版です。

 現在の中国では、外資系企業の大陸上場は認められていません。しかし、CDRを利用すれば、預託証書を発行することで海外の企業が大陸で資金調達できるようになります。また、大陸投資家が海外市場に行かなくても、海外の企業が大陸で株式を発行できるので便利です。  

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大陸投資家にとってのCDRとは

 海外の企業が大陸上場を認められていない現状で、CDRを利用すれば大陸の指定された金融機関を通して預託証書を発行し、それを大陸投資家が取引することが可能になります。

 香港は中国であって中国にあらずと前にお話したように、香港は大陸と区別されています。したがって、香港企業は海外企業と同じ扱いです。つまりは、CDRによって大陸投資家は外資系である香港企業にも投資できるようになるということです。

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海外企業にとってのCDRとは

 香港企業は外資扱いのため、大陸投資家は参入できません。同じ国なのに大陸からの資本の流入がないのです。そこで便利なのがCDRです。

 CDRを利用すれば香港企業は指定された大陸の金融機関を通して、大陸からの資金調達が可能になります。香港企業だけでなく、他の海外企業もCDRを発行することにより、大陸で上場を果たし、資金調達をすることができるようになります。

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魅力的な大陸株式市場

 現在、大陸株式市場に上場することができる企業は大陸企業のみなので、同国ながら香港企業は参入できません。しかし、中国のメインとなる大陸の株式市場規模はかなりのものです。更にQFII制度の導入により、外貨の流入も大きくなったので大陸市場には外貨を含む豊かな資金力が存在するといえます。

 すぐそばでそれを見ているレッドチップ企業にとって、大陸市場はとても魅力的な資金調達の場なのです。

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レッドチップ企業のCDR発行が実現すると。。。

 レッドチップ企業はCDRを発行することによって、間接的に大陸での上場を果たすことができ、株価収益率の高い大陸株式市場で資金の調達が可能になります。

 しかし一方では、それまで香港企業に目をつけていた大陸の投資化がレッドチップ企業のCDRに殺到し、A株に流れていた資金がCDRにもっていかれるという懸念もあります。

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CDRとQFIIとQDII

 CDR発行によって、香港を含む海外企業が大陸株式で上場し、合法的な資金調達が可能になる、QFIIによって大陸へ外貨が流入、これにQDIIが導入されれば、保有外貨のよき運用はけ口となり、理想の市場サイクルができるかもしれません。

 レッドチップ企業のCDR発行による大陸株式市場進出の裏には、A,B,H株の統合も含めた、中国株式市場の大陸統合が視野に入れられているといわれています。

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投資に適した国、中国

 昨今ニュースでも頻繁にとりあげられ、あとを絶たないテロですが、9.11にしろ、ロンドン同時多発テロにしろ、その対象は先進国に絞られています。このような緊迫した世界情勢は株式にも影響を及ぼします。そんな中、以前発展途上国である中国は、テロの対象からはずれており、いってみれば安全で安定した国=投資に適した国といえるでしょう。

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CDR実現に向けて

  CDR実現のための検討が続けられていますが、まだまだ問題が山積みなのが現状です。@香港企業のCDRに大陸投資家が殺到し、急騰急落の危険がある。AB株国内開放時のように、一部の海外投資家を儲けさせるだけで、結局は多額の人民元が失われるのではないか。BCDRを発行する金融機関はどう選定するのか。C取引通貨は人民元か香港ドルか。

 これらの問題を一つずつ解決して、早期のCDR実現が求められています。

CDR実現の問題点T
 もし香港企業のCDRが外貨で取引されると、それに目をつけた大陸投資家が殺到し、急騰急落の可能性が懸念されています。

 B株国内開放時に、同じ現象が起きました。休暇を利用して大陸を訪問した海外投資家がB株を買いあさり、株価が上昇、その後いっせいに売却してしまい、株価は急落したというニュースです。これと同じ現象が、また起きるのではないかとその対処策に頭を悩ませているのです。

CDR実現の問題点U
 B株が国内開放された際、株価の上昇を待って海外投資家がいっせいに売却したことにより、通貨である人民元は結局、その海外投資家の懐に入り、大陸株式には恩恵をもたらすどころか、ダメージを残しただけだったのです。

 QFII導入が段階的であるのは同じことを繰り返さないためかもしれません。しかしこれは、自由市場化を根本から揺るがす深刻な問題であり、その打開策は必須項目です。

CDR実現の問題点V
CDRを発行する金融機関をどう選定するか、その基準を設けなくてはなりません。また、A,B株と同じ市場での取引は非現実的であるという意見があり、新市場を開設すべきとの声もあがっています。

 金融機関の選定はQDIIの導入でもネックとなっており、なかなかやっかいな問題です。

CDR実現の問題点W
 香港企業CDRの取引通貨が問題になっています。香港企業の通常通貨は香港ドルです。しかし、大陸市場では人民元が取引通貨となっています。

 では、香港企業CDRを人民元で取引できるのか?これにネックとなるのが、人民元の規制です。香港企業が獲得した人民元を、大陸の外に持ち出すのも、外貨に両替するのもいまだ規制の厳しい中国では、困難なのです。

CDR実現の問題点X
 国有企業改革として始まった大陸株式市場はゆっくりではありますが、着実に開かれてきています。当局は更に開かれた市場を目指して、@大陸投資家による海外投資の自由化、A海外投資家による大陸投資の自由化、B海外企業による大陸市場上場という理想に向かって歩んでいます。

 QFIIによってAが先陣をきりました。まぐちはとても小さいですが、これは大陸株式市場が海外投資家にとってより身近なものになるスタートとなってくれるのではないでしょうか。

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中国株の可能性

 私たちが注目している中国株のこれからは、上海と深センのA,B株同士の統合、更にはA,B株自体の一本化、将来的には大陸と香港の市場統一に向けて進んでいくようです。

 「これらが実現できたとき=外貨、人民元の厳しい流出入規制が解消されるとき」であり、市場の対外開放、自由化を成し遂げたといえるでしょう。

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進化し続ける中国株

 市場の対外開放、自由化には長期的な視野が必要なようです。しかし、2006年には上海ユニバーサルスタジオ開設、次いで2008年には北京オリンピック開催、更に2010年には上海万国博覧会開催など、注目すべき事柄がめじろうおしです。

 このように高度成長を続ける中国の、同じく成長を続ける中国株はまさに旬であり、時間をかけても見守るに十分値する投資といえるでしょう。

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